確率思考の戦略論

読書の論点

  • なぜ評判が良いのか
  • 確率思考の戦略論とは何のことで、何が有用なのか

感想

評判が良いので流し読みしてみたが、いまいち刺さらなかったので、他の書籍も読んでみた。

マーケティングフレームワークに関する真ん中の本で全体像を掴めた。以下のように目標→戦略→戦術と落とし込むという前提で、伸びしろを数値化するという部分をどのように行うかに関して、斬新かつ説得力のある内容だったので評判がいいのかと納得した。
※伸びしろ=ビジネスドライバー(結果を左右する要素みたいな意味)

  • トップラインの伸びしろの仮説をたてる(どこで戦うか?)
  • 伸びしろを数値化して検証する+数値を目標として設定する
  • 伸びしろを獲得する必要要件をだす
  • 必要要件にしたがって事例をあつめる
  • 事例をヒントにしてアイデアをだす

数値で裏付けることで目標に納得感があれば覚悟(コミットメント)をしやすくなるし、今の戦略や戦術で必要十分なのかをプランニングの段階で判断できる点が有用だと思った。

本を肴に考えたこと

私もP&G出身の上司のもとでゼロからマーケティングを学んだため、本書に載っている横文字は聞き慣れたものが多く、上司も著者(元P&G研修担当)から教わったのかなーと思った。「消費者の代弁者」という言葉も当時はよく聞いていたが、最近意識してなかったので改めていい言葉だと思った。

ところで、「空気のつくりかた」もマーケティングの話だったが、この著者も空気のつくりかたがうまいと感じた。例えば、東北大地震の後の自粛モードを打破するためのコミュニケーションは、空気のつくりかたとして、秀逸だったと思う。空気を支配する影響力を持つ人(橋下知事)を介したこと・「大阪から日本を元気に」というメッセージが関西人の誇り(インサイト)をくすぐったのではないだろうか。空気は偉い人が決めていることが多いと思うので、「不幸な人がいるのに楽しんではいけない」という空気を変えられるのは、偉い人だったのかもしれない。この辺はかなり、自分の視点がかなり偏っていそう。

空気という言葉は定義が曖昧であるため、当初は拒否姿勢に入ってしまっていたが、その言葉の意味がだんだんと腹落ちしてきた。自分なりに定義はしてみていたが(空気のつくりかた)、わざわざタイトルにつけるまでした理由がわかっていなかった。空気を読み、操ることがマーケッターには必要なスキルなのだと腹落ちできた。

【空気】 みんなが期待していること
(ヒエラルキーのある集団の場合は、「立場の偉い人」が期待していること)
※「空気がよめない」とは、みんなが期待していることを理解できずに行動してしまうこと。みんなが疲れていて早く帰りたいのに、長いスピーチをするおじさんなど。

集合的無意識と同じ意味だと捉えているが、「自我の共有」とも捉えられる気がする。偏った見方になるが、「自我の押しつけ」や「同調圧力」とも言いかえられるかもしれない。構造として、多くの人は圧力に従う中で、従ってることを自分や外に示すために、誰かを叩き空気を強化しているだけで、0→1で空気を作っている人は極一部だと思う。この辺の構造について解説した本は一度読んでみたい。

マーケティングフレームワークの本(USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門)は、高校生の長女でもわかるように書いたらしいが、「マーケティングって楽しい!」と思わせてくれる本になっていると思う。自分はマーケッターとしてキャリアを築いていきたいのか、いくべきなのかを迷っていたが、この本を読んでやはりマーケッターとしてこのままいきたい、いくべきではと思い始めてきた。

ただ、検討すべき課題もある。マーケティングという仕事はWhatではなく、方法論(HOW)であって、なかなか専門領域にしづらい。Whatは、宣伝担当だったり、消費者調査担当だったり、企画担当だったり、会社や業種によって様々。どれか一部だけやってもマーケティングの力を活かせてるとは思えないし、全てを管理できる立場にはなかなかなれない。したがって、そういった立場になれる環境を選んで仕事をしていかなければならないのだろう。

それを踏まえると、消費財のマーケティング部門が成長環境として最適な理由は、そういった稀有なポジションがたくさん用意されているからではないだろうか。他の組織は、消費者の代弁者となる人がいないし、いても権限がなくてWhatに踏み込めないことが多いのではと思う。

また、マーケッターは商品やサービスを利用して、体で消費者視点を得なければいけないというのも、本書には書かれており、自分はこれが苦手だ。人間の行動原理には興味がものすごく強い一方で、ほとんどの商品やサービス、特にエンタメに興味がもてない私にとってはかなりの苦行だ。したがって、好きなことを知っておく必要がある。

著者もヘアケアよりはテーマパークのほうが楽しくて、プラスアルファの力がでるというようなことを書いてあるように、好きなことをやったほうが力がでるというのは自明なので、好きなプロダクトを選ぶにこしたことはない。深く知ったり、色々な角度が見たりする努力をした上で、好きになれそうにないものは諦める。

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