何をもってインサイトと言えるのか?

インサイトって?

インサイト(洞察)は、定義が曖昧かつ概念的であるため、何を持ってインサイトなのか客観的な判断がしにくいのが問題だ。

例えば、顧客の調査を行って得られた顧客に対する気づきが「消費者インサイト」なのかどうかわからない。つまり、調査の目的を達成できたのかどうか振返りができないという問題がありうる。

インサイト=隠れた真実

「隠れた」なので、現象をただ見ているだけでは気づかない。つまり、考察や分析を加えることで見えてくる気づきである。

また、「真実」があるということは、必ず「嘘」がある。それは表層だったり、建前だったりする。例えば、消費者インサイトなら、建前や言い訳が当てはまる。本記事では消費者インサイトに焦点を合わせて、考察してみる。

消費者インサイトとは、消費者行動の裏に潜む本音としよう。真実=本音だ。消費者インサイトの判断基準は以下としている。

  • 本人も自覚していない事が多い
  • 他人には言いにくいこと、言いたくないこと
  • すぐに思いつくものではない(=競争優位)
  • 同じ理由で他にも行動を起こしている(他の行動も説明できる)ことが多い

人が何か行動をするときには、本音と建前がある。本音が行動を促し、理性が審査する。理性で上手く正当化できて始めて人は行動に移す。つまり、人が自覚しているような行動理由は、建前であり、本音ではないのだ。

だからこそ、深く考察や分析を加えることで、隠れた本音をあぶり出す必要がある。そして、商品開発やマーケティング活動で、競争優位を生み出すには、本音を刺激することだと思う。

消費者インサイトを掴む目的とは?

言葉の定義が曖昧で判断しにくいときは、目的に立ち返って考えると実用的な基準を作りやすいと思うので、目的を考えてみる。

消費者の本音を知っていれば、顧客価値から施策に落とし込むマーケティング思考(本記事下部の森岡毅氏の著書を参考)を行えるため、施策の質が高く安定する。競合は表層しか真似をできないので、先にいかれることは少なそうだ。

したがって、競争優位を生み出すことと言えそうだ。さらに言えば、ある事業で消費者のインサイトを捉えて、別の事業にその知見を応用できるため、経営資源の創出とも言えそうだ。

言い換えると、これらの目的にかなっているかどうかで、インサイトなのかどうかを判断するという見方もできるかもしれない。

最終的には施策の成果で判断

客観的な定義付けを試みてみたが、客観的に判断するのは難しそうに思う。信念として、「建前(=ウソ)を見抜いて削ぎ落とし、残った要素の裏側に隠れているようなモノを見つけようとすれば、競争優位を生み出せる」と自分は捉えている。

とはいえ、ある程度インサイト仮説の確からしさを確認したい。成功した施策の振返りの際に、上手くいった理由を深掘りする際に、どんなインサイト(本音)を捉えられたのだろうという視点を持つことで、再現性をつくることができるのはなかろうか。

ここまで読んでも腹落ちしない場合は、「インサイトという何かがあると想定して、現象の裏にある本質を追求していこう」という姿勢と捉えてみると少しは学びになるかもしれない。

消費者インサイトの例

具体例がないとわかりづらいと思うので、私のストックから紹介する。

例えば、女性がクラブに行く理由。この行動の裏にあるインサイトはUSJのようなテーマパークに近そうだ。

元々、五感=本能に直接的に訴える体験(異性・音楽・アルコール)だから、あまり隠れている要素は少ないが、「その欲求を満たすためになぜクラブという手段がいいか」という背景まで想像してみるとインサイトが浮かび上がる。

それは「素の自分をさらけ出して弾けたいけど、普段会う人には見せたくない」だと思う。特に「異性にちやほやされたい」という、普段はとてもじゃないがむき出しにはできない欲望に忠実になれる。音楽やアルコールは理性を鈍らせて罪悪感をなくす重要な要素。

普段、猫を被っている女子ほど、合コンとかクラブが好きな傾向がありそうだ。「欲望や感情をむき出しにしたり、素をさらけ出したりすることを正当化する場所」を求めているのだろう。

他の事例は以下参照。
消費者インサイト事例まとめ

※参考文献